スマートホスピタル化には、絶対に不可欠なセキュリティ対策

近年、あらゆるモノがインターネットにつながるIoTブームが起きている。IoTの中で最も有名なのはIoT家電だが、最近は病院とインターネットの組み合わせ、スマートホスピタルが注目を浴びている。

 

日本では、スマートハウスという言葉を耳にする機会は非常に多いだろうが、スマートホスピタルは聞きなれない言葉かもしれない。

しかしながら、実際に、川崎市が基幹の市立病院のエネルギー関連設備を高効率なものに更新して、コスト削減と同時に防災対策を強化するスマートホスピタルを推し進めている。

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(参考:市⽴川崎病院におけるスマート化の基本⽅針 川崎市HPより)

また、現在、日本に限らず世界の多くの国々で医療従事者不足が深刻な問題となっており、IoTによるスマートホスピタル化はその問題を解決する大きな施策の1つとなるだろう。

現在、医療機関がIoTを導入する大きな6つの利点が考えられている。

  • コスト削減

ヘルスケア業者がコネクティビティの利点を取り入れることで、患者のモニタリングはリアルタイムに行うことが可能になり医者の無駄な往診のコストが減る。特に高等なホームケア施設については、病院での滞在や患者の再訪が減るため、確実にコストが削減できると言える。

  • よりよい治療効果

クラウドコンピューティングやその他のバーチャルインフラを通じたコネクティビティを使ったヘルスケアソリューションは、治療を施す側に判断するための情報をリアルタイムで届けるだけでなく、より細かなデータに基づいた治療を施すことを可能にする。このことにより対策も時機を得たものとなり、結果、治療効果も上がることだろう。

  • よりよい疾病管理

患者が継続的に監視され、治療を施す側がリアルタイムにデータを入手できることで、手の施しようがなくなる前に疾病の治療ができるようになる。

  • 医療ミスの低減

正確なデータの収集、ワークフローの自動化、データに基づいた判断が組み合わさることにより、余分な浪費やコスト、そして何より医療ミスを低減することができる。

  • 患者エクスペリエンスの向上

IoTを使った患者のニーズに着目したヘルスケアシステムの実現だ。治療の先回り、診断の正確性の向上、医師の介入のタイミング、治療効果の向上は、患者自身がそれを受け入れるにあたり納得がいく結果を上げることだろう。

  • 薬剤管理の向上

ヘルスケア業界において薬剤は、その製造だけでなく管理にもかなりのコストを掛けている。だが、IoTによりこれらのコスト管理もしやすくなるだろう。

(参考:IoTが病院とヘルスケア産業にもたらす6つの利点 ReadWrite 2016/8/4)

 

しかしながら、IoTが議論にあげられる際に、無視することができないのは、セキュリティの問題だろう。

IoTは、IoT家電が一気に注目を浴び、次々と様々なモノとのリンクが進んでいる。最近では、家電だけではなくコネクテッドカーなども生み出されてきており、そして次の舞台としてIoTと病院の組み合わせ、スマートホスピタルが注目を浴びているのだ。

とはいえ、IoT家電もそうだが、それ以上にコネクテッドカーやスマートホスピタルは、何らかの問題が発生した際に、人間に及ぼされる影響が甚大である。

とりわけ、スマートホスピタルは医療設備が直接的に患者の命を預かるため、相当のリスクがある。

例えば、このようなリスクがある。

・意図的な情報操作およびそれに伴う混乱

ネットワーク上へあがった情報を第三者が意図的に操作する可能性が考えられます。家電製品等とは異なり、医療では情報が命取りとなる場面が非常に多くあります。数値を書き換えるだけで投薬量が変わり、処置が変わります。

感染などの情報も操作されると、瞬時に混乱状態を招く危険性があります。

・機器の故障

ネットワークにつながった機器は、そうでない場合と比べて故障しやすいという傾向があります。

・プライバシー

医療に関する情報の価値は非常に高いとされています。悪意のある何者かによって情報を取得するためにサイバー攻撃を受ける可能性があります。

(参考:IoTが医療分野でも広がりを見せる。その可能性とは CHANGE-MAKERS 2015/11/27)

 

そして、もっとも甚大な影響を及ぼすの可能性が高いものが、意図的な情報操作のリスクだろう。

医療設備が直接的に患者の命を預かるため、ハッカー側はその本質的な弱点を突き攻撃してくることが考えられ、実際にアメリカでは、以前このブログでもお伝えした通り、ハッキングによる病院への脅迫など物騒な事件が発生している。

ハリウッド発!病院がコンピューターウィルスに院内感染→しかも身代金まで要求という事態に

ほんのわずかな情報操作でさえ、患者の命を危険にさらすことも原理的には可能であり、それゆえに、スマートホスピタルは新たなサイバー犯罪の標的となるのは避けることはできない。

まずは、病院側がセキュリティ能力を上げていくしか方法はないのである。

一方で、利用者サイドには何ができるのか。

一言で言うと、情報リテラテシーを高めるしかないのである。各病院は、今後スマートホスピタル化を進めていくだろう。様々な情報を出していくと思われるので、適切な情報を受信し、自分にあった選択をしていくことが利用者サイドができる唯一の対策ではないだろうか。

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