高度なセキュリティ人材の第一歩 情報処理安全確保支援士とは

情報処理安全確保支援士とは

先日、2018年10月21日は情報処理推進機構(IPA)が実施する情報処理技術者試験の試験日でした。訪問者の中にも何らかの試験を受験されたかたがいらっしゃるかもしれませんね。お疲れ様でした。

情報処理技術者試験というとITに関する多種多様な資格が用意されており、特にレベル4に分類される試験は難関資格と言ってもよいものが多数あります。その中でも注目はセキュリティ関連の資格である「情報処理安全確保支援士」です。

情報処理安全確保支援士試験はかつて情報セキュリティスペシャリスト試験と呼ばれており、国内で実施されているセキュリティ資格の登竜門的な資格でした。

国内で発生するサイバー攻撃の増加と高度化により、社会的脅威が無視できないレベルとなり、サイバーセキュリティ対策を行える高度な人材の確保を目的に、2016年10月「情報処理の促進に関する法律」が改正されました。その結果、情報セキュリティスペシャリストに代わり、新しく登場した国家資格が「情報処理安全確保支援士」です。

 

情報処理安全確保支援士のなりかた

情報処理安全確保支援士は他の区分の試験とは異なり、試験に合格するだけでなく、別途登録というステップを踏むことでなれます。このためIPAではこの資格の事を「登録セキスペ」と呼んでいます。

まずは試験に合格することが必要です。情報処理安全確保支援士試験は情報処理技術者試験でももっとも難しいレベルに分類されていることもあり、合格率は15%程度とかなり低くなっています。

試験内容は午前Ⅰ・午前Ⅱがマークシート形式、午後Ⅰ・午後Ⅱが記述式の試験です。それぞれの区分で100点満点中60点以上取ることで合格です。

試験合格者はIPAに登録申請をする必要があります。登録は通年受け付けていますが、10月1日の「上期登録」と、4月1日の「下期登録」の年2回の登録日を設けています。登録にあたり、戸籍謄本や身分証明書の提出が必要です。

情報処理安全確保支援士の制度開始に伴い、過去に情報セキュリティスペシャリスト試験やテクニカルエンジニア(情報セキュリティ)試験の合格者は、情報処理安全確保支援士試験に合格してなくても、登録セキスペとして登録できるという経過措置が取られていました。なおこの経過措置は2018年8月19日で終了しました。

情報処理安全確保支援士のメリット・デメリット

情報処理安全確保支援士になることで以下のようなメリットがあります。

・情報処理安全確保支援士と名乗る事できる

・情報セキュリティに関する高い知識と技術を持っていることを証明できる

・定期的に受講することで、最新の情報セキュリティ知識や技術を維持できる

他にも企業によっては資格手当が受け取れるところもあるようです。また今後、行政が委託するセキュリティ案件の入札要件として情報処理安全確保支援士が必要になるかもしれません。

その一方で情報処理安全確保支援士のデメリットもあります。一番気になるのが資格を維持するためのコストが非常に高いという点です。

1年に1回行われる「オンライン講習」は1回につき2万円必要です。さらに3年に1回行われる「集合講習」では受講費用として8万円必要です。つまり3年間で14万円の費用を負担しなくてはなりません。これは結構きついですね。

筆者は5年前に情報セキュリティスペシャリスト試験に合格しました。そこで先ほど紹介した経過措置の案内についてIPAから何度か連絡を頂いたのですが、やはり資格の維持コストが高いという理由で登録セキスペの申請はしませんでした。ネット上でも登録セキスペの資格維持コストの高さを理由に申請をしなかった人はそこそこいるようです。

IT系初の士業ということで、注目を集めた情報処理安全確保支援士ですが、独占的な業務があるわけでもなく、資格の維持コストの高さもあり、登録を躊躇するかたも確かにいらっしゃいます。しかし試験の合格に向けて勉強することで、情報セキュリティに対する知識や技術を高めることができます。また試験に合格しても登録セキスペの申請は保留するということもできます。もしセキュリティ技術の向上を目指している方がいましたら、情報処理安全確保支援士試験を受験してみてはいかがでしょうか。

 

(Photo by rawpixel on Unsplash

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