- 2017年3月9日
- セキュリティについて
ブロックチェーンは新たな社会インフラとなり得るか
いま金融業界を中心として注目されている技術に「ブロックチェーン」があります。金融機関以外の企業や行政機関でもこのブロックチェーンに注目しており、導入を考え始めているようです。
ブロックチェーンとは
もともと、ブロックチェーンはビットコインを構成するソフトウェアの一部です。ビットコインは通貨の中央集権的な管理機構を持たず、分散的に管理されていますが、それを支える仕組みがいわゆるブロックチェーンと呼ばれるようになったのです。
ブロックチェーンは、取引の履歴を記録するデータベースを一ヵ所で管理(中央で管理)するのではなく、多くの場所で同じデータベースを保持しながら管理(分散的に管理)しているので、「分散型台帳」とも呼ばれています。
(参照:MUFG Innovation Hub、「ブロックチェーン」の特徴とその応用例 2016/11/15)
ブロックチェーンには中心となるデータベースがなく、分散されているために乗っ取られる心配がありませんし、そしてパブリックであるため、誰もがデータを自由に閲覧することができます。
ブロックチェーンの活用が加速している
そして実際にビットコイン以外の領域でも、このブロックチェーンを利用する企業や団体が増加してきています。
最近では米IBMとデンマークの海運大手APモラー・マースクは、世界貿易のサプライチェーン改革につながるブロックチェーンソリューションの開発で提携すると発表しました。
このソリューションはサプライチェーンプロセス全体のデジタル化による透明性の向上と、取引パートナー間での安全性の高い情報共有を通じて、全世界での数千万個のコンテナ輸送に関する文書記録の管理と追跡を支援するもので、実現すれば業界全体で年間数十億ドル規模のコスト節約につながる可能性があるようです。
(参照:@IT、IBMとマースク、ブロックチェーン技術を用いた世界貿易のサプライチェーン改革で協業 2017/03/07)
ブロックチェーンの台頭により、UberやAirbnbのような中央集権的なサービスは遅からず陳腐化し、いずれ不要になるとも言われています。
(参照:ダイヤモンド・オンライン、ビジネスモデルの破壊者AirbnbやUberも遠からず破壊される 2017/03/02)
セキュリティを問題視する声も
とはいえ、このようなブロックチェーンの導入はそれほど簡単には進まないかもしれません。
一見すると完璧なシステムに思えるブロックチェーンにもセキュリティの問題が懸念されているようです。具体的には以下のようなセキュリティの問題が問題視されています。
・どのようにしてセキュリティをアプリケーションに適用するか、プライバシー保護を優先させるか?
・誰が元帳にアクセスし、どのようにしてアクセスを制御するか?
・どのようにして、ソフトウェア/アプリケーションのアップデートについて合意し、実行するか?
・顧客のアプリケーションに対する考え方を事前に検討したことがあるか?
・どのようにして顧客と関わるか?
(参照:デロイトトーマツ、ブロックチェーン技術とサイバーセキュリティ 2016/03/16)
このように全てを変えてしまいそうなブロックチェーンにも未だセキュリティ上の懸念点は往々にして存在しているとのことです。
とはいえブロックチェーンが秘めるポテンシャルは非常に高く、以上であげたセキュリティ上の懸念点が解決されれば、新たな社会インフラとなり得るでしょう。