- 2019年2月26日
- その他脆弱性情報
「IEは技術的負債もたらす」マイクロソフトがブラウザ「Internet Explorer」の使用中止を求める
マイクロソフトがウェブブラウザ「Internet Explorer」の使用を中止するように求めました。
マイクロソフトは、すでに「Edge」と呼ばれる新型のブラウザを公開しており、Internet Explorer(IE)を使い続けることは、「技術的な負債」をもたらすということで、Edgeへの移行を推進しています。
IEの過去バージョンであるIE8からIE10に関しては、2016年にサポートが打ち切られています。
Windows 10におけるIE11のサポートは2025年10月までとされていますが、もしかしたら短くなる可能性もありそうです。
また、株式会社ウェブレッジは2018年12月のブラウザシェアのランキングを公開しています。
【参考】WebブラウザシェアランキングTOP10(日本国内・世界)
https://webrage.jp/techblog/pc_browser_share/
この調査によると、IE11のシェアが13.49%であるのに対し、Edgeのシェアは5.57%にとどまっています。
ランキングの第1位と第2位はGoogle Chromeのバージョン70.0と71.0が並んでいます。
Edgeは2015年3月にWindows 10のテクニカルプレビュー版に搭載されました。しかしWindows10には同時にInternet Explorerも標準で搭載されていたため、同じパソコンにマイクロソフト製のウェブラウザが2種類インストールされているという状況が続きました。
さらにEdgeはWindows 10のみで動作するため、古いOSであるWindows 8.1やWindows 7にはインストールすることすらできませんでした。このような事情もEdgeの普及を妨げる原因となっていたと考えられます。
Internet Explorerの栄枯盛衰
Internet Explorerのシェアがなくならない理由として、長年にわたり使われてきた、使い慣れたブラウザであることだけではなく、企業内で使われているWebサービスの中には、Internet Explorerでしか動作しないものがあることがあげられます。
例えば、現在、確定申告の時期を目前に控えていますが、国税電子申告システムである「e-Tax」が、Windows 10でインストールされているブラウザのうち、Edgeは動作対象外であり、Internet Explorer11のみ動作可能であるという事情もあります。
【参考】Windows10のご利用について
http://www.e-tax.nta.go.jp/topics/topics_win10.htm
なぜIE11で動作して、Edgeでは動作しないのか、詳しい理由はわかりませんが、おそらくIEでしか動作しないライブラリやフレームワークを活用しているからではないかと考えられます。
今思えばInternet ExplorerはWeb制作業界では問題児のようなウェブブラウザでした。
しかしWindows XPに搭載され、長年にわたり使われ続けた、IE6は様々なバグや不具合があったにも関わらず、圧倒的なシェアを誇っていました。
しかしGoogle ChromeやFirefoxなどの他社のブラウザの登場は、ユーザーにブラウジング環境の選択肢を与えてくれました。
マイクロソフトもIEのシェアが徐々に下落している状況に焦ったのか、Edgeという新しい名前で新しいブラウザを開発することになりましたが、ここ数年のブラウザのシェアのトップはGoogle Chromeであるという状況が続いています。
今回、マイクロソフトが正式にIEの使用中止を求めたわけですが、IE以外のブラウザでは動作しない企業内システムは、まだまだ残っています。
それらの問題の解決策を提示せずに、IEの使用の中止を求めるのは、あまりにも一方的すぎるように感じます。
今回、はっきりとIEの使用は「技術的負債」と宣告されてしまいました。しかし負債の解消は、容易ではなさそうです。
(Photo by Laurent Peignault on Unsplash)