- 2017年11月9日
- セキュリティについて
もしスティーブジョブズがiPhoneXのFace IDを説明したら
おい、ティムクックお前らの説明じゃ、Face IDの凄さが伝わらねえ。
オレの脳内では、ジョブズがこんなこと言ってる。
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情報化社会と言われはじめたのはいつだったかな?
おそらく我々が青春を過ごした1960年代後半、既にそれは言われはじめていたじゃないかな。
狩猟社会から農耕・牧畜社会、そして産業革命による工業化社会。
産業革命から200年以上たった現代、コンピューターの登場と共に情報化社会の扉は開いたんだ。
それはインターネットの登場にさらに押し進められ、その扉は大きく大きく開いた。
今や情報化社会の真っ只中だ。
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さて、その情報なのだが、具体的には何を指している?
生年月日や出生、IDやパスポート情報、写真や動画などの個人情報。
企業の特許情報や、国の機密情報。
現代社会では、ありとあらゆることが「情報」となっているよね。
それらは「ビット」となり、「電子情報」として様々な媒体に保存されている。
そこで我々テクノロジー業界の出番だ。
「情報化社会」において、「情報」を預かる我々の使命とは何だろうか。
それは情報にいかに「素早く」「安全」にアクセスするかだ。
ご存知の通り、
インターネットはここ20年で劇的に早くなった。
たった15年前ですら、YouTubeはまだ誕生してなかったんだ。
そもそもインターネット動画とテレビの画質には雲泥の差があって、それを同等のものとみなす人はいなかったからね。
でも、今ではYouTubeどころかNetflixなどネット配信動画が時代の最先端だ。
テレビは既に死んでいる。情報化社会の過渡期の産物だ。あれはただの電波事業なんだ。ITの一部になっていくだろう。
記憶する媒体も飛躍的に進歩した。
初代Macを初めて出した時、メインの記憶媒体はフロッピーディスクだった。
記憶容量は400KB。
今だったら、歌1曲どころか写真1枚も入らない容量さ。
でも、最新iMacはその250万倍の1TBのHDが標準装備だし、SSDならば物理的にも堅牢でかつ、データのやり取りも圧倒的に早い。
「安全」面はどうだろう。
データの暗号化、サイトのSSL化。暗号技術も飛躍的に進歩した。
そもそもインターネットとは軍事技術として発展したのはみなさんご存知の通り。データの安全化はインターネットのDNAとも言えるものだ。
つまり、情報の保存量、その通り道であるインターネット、それらの安全性は、日常レベルでは申し分ないレベルになってきていることは間違いないんだ。
でも、「素早く」「安全」のためには、たった一つのどうにもならないボトルネックがあるんだ。
本当に、ここがまさに「ボトルネック」なんだ。
つまり、こういうことさ。
例えば、銀行からキャッシュを引き出す時ってどうしてる?
銀行口座からキャッシュを引き出す時だって、今だに多くの人は暗証番号を入力してるね。
MacやPC、iPhoneやスマートフォンにログインする時も同様さ。
とりあえずパスワード入力を求められるよね。
どんなにセキュリティ技術が発展しようとも、結局は、それぞれ個人自らの記憶が、セキュリティ最後の壁になるわけだ。
それはそれでいい。
確かにそうなんだ。頭の中身は、どんなにとびきり優秀なハッカーでも誰1人として覗くことはできない。
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で、今日の話はここからだ。
じゃあ、そもそもパスワードなどの入力は無くせないのかってことだ。
もちろん、それはあらゆるハードウェア、ソフトウェア業界が取り組んで来たことでもあるし。
ある意味実現もしている。
我々アップルも例外ではない。
例えば、「キーチェーンアクセス」。
全てのアプリのログインIDとパスワードを一元管理するソフトウェア。もう随分前から採用している。
一度、MacやiPhoneを立ち上げていれば、ほとんどのアプリケーションのIDとパスワードは自動入力。
入力のパスワードをなくすことはできなかったが、入力の手間そのものは大幅は軽減されたね。
これはこれで便利だった。
でも、これはやがて大きな欠点が出てきたんだ。
まあ、はっきり言ってしまえばiPhoneのせいなんだけど。
常に携帯していてかつ頻繁にONとOFFをくり返すようなものだと、自動ログインにしてしまうとセキュリティの意味がなくなってしまうんだよね。わかるよね?
個人情報が入っているガジェットは頻繁に使うが故に、自動ログインが使えなくなるという矛盾が生じてしまったんだ。
これは、超面倒だった
で、アップルはそれも実は解決した。
もう皆におなじみのTouch IDだ。
便利だよねえ。たった一本の指で認証してログインしてくれるんだから。
大好きなんだ。この技術。まさに未来だって思ったものさ。
でも、アップルはここで終わらない。
今日はそれをさらに進化させたものを発表する。
その名もFace ID。
必要なのは君の顔。
iPhoneを手に持って画面を見れば、認証完了。
もう、指1本もいらない。
これがどれくらい凄い技術かって?
フロント画面のこの部分、まずここが只者じゃない。
この部分には8つ機能がそれぞれ役割を割り振られてるんだ。
それら機能の組み合わせで「TrueDepthカメラシステム」が構築され、顔を向けると3万以上のドットでマッピングして3D深度マップを作成すると同時に赤外線イメージも取り込む。
さて、本当に凄いのはここからなんだ。
今回iPhoneXにはA11 Bionicと呼ばれるアップルが独自に開発した世界最高レベルのチップを搭載しているんだけど、今までと大きく違う点は、その中にNeural Engineと呼ばれるAIをハードウェアとして積んでいることだ。
そのNeural Engineが、一旦取り込んだ深度マップと赤外線イメージを解析し、かなり正確に本人の顔と照合するんだ。
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実際使って見ると、これがもうとにかくめちゃくちゃ簡単なんだ。
いや、簡単って言葉では言い表せない。もう認証なんて言葉は宇宙の彼方に飛んで言ったよ。
簡単を超えてもう「何もない」。
やってみようか。
見たかい?
今、ロック外れただろ。
指一本触れてない。
もう一度やるよ。
ほら。ロックが外れた。
とても自然だろ。iPhoneを見るときはiPhoneを見る。
当然のことなんだが、つまりそれが認証になっているってことさ。
さっき話した通り、このフロントパネルの「TrueDepthカメラシステム」とA11 Bionic Neural Engineの働きによって、持ち主の顔を認識してロックを解除してるんだよ。
あえて、これを日常に例えるならば、家族が家のキッチンに入って来た時と同様と言えばいいかな。
家族の誰かがキッチンに入ってきた時って、当たり前のようにそこに入ることを承認するよね。
いつも見てる顔だし顔の判断なんか一瞬だよね。
それと同じことが、Face IDで行われてるってことだよ。
じゃあ、その家族がいつもと違う格好で入ってきたらどうかな?
例えば帽子を被っていたり、メガネをかけていたり。ヒゲが生えてたり。
どう思う?
家族ならわかるよね。
Face IDも同様さ。ちゃんとわかるんだ。
双子はどうだろう?
家族ではない他人がその双子を見たら間違えることもあるけれど、家族なら大体わかるよね。
Face IDも同様だ。家族と同様程度にはわかる。
つまり、人間が顔を見分ける程度のことは余裕できるほどに精度が高いってことさ。
我々が行なった研究では、Face IDで他人が認証される確率は100万分の1だった。これはTouch ID5万分の1の20倍の精度を誇る。
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わかってくれたかな。
もう、これからはiPhoneと顔を合わせるだけでいいんだ。それで「素早く」「安全」にあなたの欲しい情報にいつでもアクセスできる。
それを実現しているのが、Face IDを標準搭載したこのiPhoneXなんだ。
(了)