【相談事例】Claude Codeなど「AIエージェント」を安全に導入するには?
はじめに:AIエージェントがもたらす「新たなリスク」
レオンテクノロジーは、お客様がセキュリティで「困った!」という時に、真っ先に声をかけてもらえる存在でありたいと考えています。
昨今、「Claude Code」などのローカル環境で動作するAIツールの導入について多くのお問い合わせをいただきます。これらのツールは非常に強力な権限を持つため、企業としてどう制御すべきか、実際の回答例を交えて解説します。
ご相談内容:ローカル環境の「強力な権限」をどう制御すべきか
今回いただいたのは、次のようなご相談です。
「Claude CodeやCoWorkなど、PCのローカル環境で動作するAIツールの利用が増えていますが、これらはファイル操作やシェルコマンドの実行など広範な権限を有します。 企業として導入する際、参考にすべきフレームワークや取り組むべきセキュリティ対策について教えてください。」
結論:設定による「制御」と実行環境の「分離」
ローカルで動作するAIエージェントは、非常に幅広い権限を持つため、以下の二段構えの対策を推奨しています。
管理機能による一元制御
サーバー、エンドポイント管理設定を用いて、組織で承認したセキュアな設定を各PCに配布・強制する。
実行環境の隔離
万が一の事態に備え、仮想マシンや管理されたサーバーなど、メイン環境から分離された場所で実行する。
AIが「行動主体」となるため、これまでの生成AI対策をさらに発展させ、権限管理や可観測性などゼロトラストを軸にした多レイヤーでの対策が不可欠です。
セキュリティ対策の重要ポイント
1.サーバー・エンドポイント管理による設定配布
Claude Code等のツールには、管理者が各PCの設定を一元管理する仕組みがあります。
サーバー管理設定
Anthropicの管理コンソールからJSON形式で設定を配布できます。
これは、PCの利用者が管理者権限を持たない場合に特に有効です。
エンドポイント管理設定
OSレベル(WindowsレジストリやmacOS管理設定)で設定を配置します。
設定ファイルがOSレベルで保護されるため、より強力なセキュリティ保証が得られます。
2.Blast Radius(被害範囲)を最小化する環境分離
ローカルで動くAIツールは、ユーザーのファイルアクセス権をそのまま継承するなど、権限が非常に広範です。
そのため、セキュリティ上の懸念として「Blast Radius」の考慮が重要です。
【Blast Radius(ブラスト・ラジアス)とは?】
直訳すると「爆発半径」を意味し、セキュリティ分野では「あるシステムやIDが侵害された際に、被害が及びうる最大の範囲」を指します。
【対策】
AIエージェントを通常のデスクトップ環境で直接動かすのではなく、仮想マシン(VM)や管理されたサーバー環境などの隔離環境で実行させます。
これにより、万が一エージェントが不正な動作をしても、被害(Blast Radius)をその隔離環境内だけに閉じ込めることができます。
3.参照すべきフレームワークとガイドライン
AIエージェント特有のリスクを管理するために、以下の最新フレームワークを参照することをお勧めします。
Anthropic Zero Trust for AI agents https://claude.com/blog/zero-trust-for-ai-agents
agents AIが自律的な「行動主体」となることで生じる新たなリスクに対し、ゼロトラスト原則をいかに適用すべきかという設計指針が解説されています。
Agentic Trust Framework (ATF) https://github.com/massivescale-ai/agentic-trust-framework
自律型AIにゼロトラストを適用するための仕様です。アイデンティティや挙動など5つの要素で管理する手法が定義されています。
OWASP Agentic Skills Top 10 https://owasp.org/www-project-agentic-skills-top-10/
AIが実行する「スキル(行動手順)」に潜むリスクを特定したガイドラインで、2026年現在の最新の脅威傾向がまとめられています。
まとめ
AIエージェントは利便性が高い一方で、OSレベルの深い権限を持つ「行動主体」であることを忘れてはなりません。
管理機能による設定の強制、仮想環境による分離、そしてATFなどのフレームワークに基づいたゼロトラストな管理体制を構築することが、安全な活用の第一歩となります。
レオンテクノロジーでは、こうした最新ツールの安全な導入支援を行っております。
お困りの際はぜひお声がけください!
>>お問い合わせはこちら
その他参考資料
今回の内容をより深く理解するために役立つ公式ドキュメントや最新のセキュリティフレームワークです。
サーバー管理設定を構成する – Claude Code Docs
https://code.claude.com/docs/ja/server-managed-settings
組織全体でClaude Codeの設定を一元管理・配布する方法を詳細に解説した公式テクニカルドキュメントです。
Agentic Trust Framework (ATF)
https://github.com/massivescale-ai/agentic-trust-framework
「誰が、何を、どこで」実行しているかを統治し、AIエージェントの信頼性を評価するためのオープンな仕様書です。
OWASP Agentic Skills Top 10
https://owasp.org/www-project-agentic-skills-top-10/
2026年現在、AIエージェントの実行レイヤー(スキル)で発生している実際のアタック事例や、優先的に対処すべき脆弱性をまとめています。
OWASP GenAI Security Project
https://genai.owasp.org/
生成AIアプリケーション全体のセキュリティ・安全性を高めるためのオープンソースなガイダンスを提供するグローバルなコミュニティ活動です。
OWASP Top 10 for Agentic Applications for 2026
https://genai.owasp.org/resource/owasp-top-10-for-agentic-applications-for-2026/
100名以上の専門家による査読を経て策定された、自律型AIシステムが直面する最も重大な10のセキュリティリスクを特定したフレームワークです。
AIエージェントセキュリティ – OWASPチートシートシリーズ
https://cheatsheetseries.owasp.org/cheatsheets/AI_Agent_Security_Cheat_Sheet.html
エンジニアやセキュリティ担当者が、開発・運用において「やるべきこと(Do’s)」と「やってはいけないこと(Don’ts)」をクイックに確認できるチェックリスト形式の資料です。